相続は初めてのことなので何をしたらよいかわからない

相続は初めて

相続が発生した場合、ほどんどの方は初めてのことで何をしたらよいかわからないと思います。下記は相続が発生した場合の基本的な手続きの流れになります。

相続手続き基本的な流れ

1相続人の調査・確定をする

亡くなられた方(被相続人)の相続人を特定するために、戸籍調査を行う必要があります。
遺産相続において、一番始めに着手しなくてはいけないのが、相続人の調査・確定です。金融機関や法務局において遺産の名義変更を行うには、戸籍謄本や相続関係説明図を通じて相続人全員が誰であるか証明できないと、銀行預金を引き下ろしや不動産の名義変更はできません。したがって、まず一番最初に相続人を特定するために戸籍調査を行う必要があります。

2相続財産の調査・確定をする

遺産分割をする際には、相続財産がどれだけあるのか調査・確定する必要があります。相続財産には、大きく分けて「現金」「預貯金」「不動産」等の積極財産と、「借金」等の消極財産があります。亡くなられた方の名義になっている財産は、原則、プラスマイナス含めてすべてが相続の対象になり、それを把握する必要があります。

金融機関と取引があった場合には、預貯金については、通帳記入をしておき、被相続人の死亡時までの残高証明を請求しておくといいでしょう。不動産については、納税通知書や名寄帳(同一の所有者が有している不動産の一覧表のようなもの)等により、被相続人名義のものを確認します。亡くなられた方が公開されている株式等の有価証券を有している場合は、証券会社に問い合わせをしてください。金融機関等からの借り入れがある場合には、その残金の返済義務は、原則その相続人に承継されますので、金融機関にも現状を確認する必要があります。

3遺言書の有無を確認する

遺産分割を行う前に、亡くなった方が遺言書を残しているかどうかが重要になります。遺産の分割において、最も優先されるのが「故人の意思=遺言書」であると、法律に規定されているからです。したがって、遺言書を作成しているかどうかを確認する必要があります。

4相続方法を決定する

遺産調査をもとに、プラスの財産やマイナスの財産を確認し、遺産を相続するのか、しないのかを決める必要がある場合もあります。
これを相続方法の決定と言います。相続方法の決定は、相続開始(故人が亡くなって)から3ヶ月以内に行う必要がります。この期限を過ぎてしまうと、単純承認をした事になってしまうので、注意が必要です。
また財産を放棄する(相続放棄)場合などは、家庭裁判所に申述する必要があります。

5遺産分割

相続財産があって、相続人が複数いる場合は、被相続人の財産を相続人の間でどのように分割して相続するかを決めます。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議の結果、相続する内容が決まったら、遺産分割協議書を作成して、相続人全員の署名、捺印(実印)をし、印鑑証明書を添付します。
なお、有効な遺言書がある場合や、法定相続分に従って相続する場合には、遺産分割協議をする必要はありません。

6名義変更の手続をする

相続財産のなかに登記された土地・建物がある場合は、相続登記(所有権移転の登記)をします。
また、預貯金がある場合については各金融機関で名義変更の手続きすることになります。その他に、自家用車、株券等などの有価証券を有している場合は、それぞれ名義変更手続きも必要になります。

相続登記

相続で不動産名義を譲り受けることになった場合、登記名義を変更する相続登記をする必要があります。相続登記せずそのまま放置していると、思いがけないことで問題となることがあります。
また、相続登記を行うには戸籍簿の収集などに1~2ヶ月かかることがあります。お早めにご準備されることをお勧めします。

相続登記における必要書類

  • 亡くなった方の
  • 1.誕生から死亡にいたるまでの戸籍謄本
    ※(謄本等の名称は、それぞれ「戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍」などと呼ばれますが、こちらは作成の時期によって呼び方が異なるもので、特に気にする必要はありません。)
  • 相続人になられた方の
  • 1.戸籍謄本…1通
    2.住民票(本籍記載付きのもの)…1通
    3.印鑑証明書…1通
  • 亡くなった方所有の
  • 固定資産評価証明書(所有物件全部)…1通
    なお上記(印鑑証明書除く)の書類は司法書士でも取得が可能です。

相続放棄

相続放棄

相続財産にはプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスな財産も相続人に引き継がれてしまいます。
マイナスの財産のほうが多い場合は家庭裁判所へ相続を放棄する申述をして相続放棄をすることができます。
相続放棄は相続開始(故人が亡くなって)から3ヶ月以内に行う必要があり注意が必要です。

相続放棄における必要書類

  • 被相続人(亡くなった方)が死亡したことがわかる戸籍・除籍謄本
  • 戸籍をおいた市区町村役場で取得できます。
  • 被相続人の住民票除票
  • 被相続人が亡くなった時の住所地の市区町村役場で取得できます。
  • 相続放棄される方の現在の戸籍謄本
  • 各相続人の戸籍をおいている市区町村役場で取得できます。
  • 負債等の内容がわかる資料
  • 債権者からの請求書・通知書、負債内容がわかる契約書・資料等をご用意ください。

お子様、お孫さんのため、将来のための遺言書作成

遺言書作成

この先、いつ何が起こるかは誰にもわかりません。あらかじめ、遺言書を作成をしておけば、何があっても、ご自身の意思を反映することができます。
遺言書を作成しておけば、将来、親族間で争うことを防ぐことができます。仲のよかった家族が、相続財産が原因で疎遠に…ということも相続問題では多くの方が経験されていますので、注意が必要です。

遺言書の種類

遺言書には大きく分けて、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の二種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 遺言者本人だけで作成。最も簡単な遺言書。
  • 公正証書遺言
  • 公証役場で公正証書として作成される遺言書。作成には遺言者以外に二人以上の証人が必要。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

  自筆証書遺言 公正証書遺言
作成
方法
本人がご自分で全て書く 公証役場で公証人が制作する
良い点 ・自分で作成ができる
・気軽に書き直しができる
・費用があまりかからない
・公証人が作成するので、不備がない
・原本は公証役場で保管されるので安心
・死後の検認が不要
悪い点 ・ルールに沿って書かないとと不備により無効になる可能性がある
・紛失や改ざんをされる可能性がある
・死後の検認手続きが必要
・作成する手間や費用がかかり、証人も2人必要になる
・ある程度の費用がかかるため

相続その他のケース

相続人に未成年や認知症の方がいる

相続人に未成年や認知症の方がいる

相続人が未成年のときは、原則、その親権者を代理人として、未成年者を含む相続人全員の間で遺産分割協議をする必要があります。

意思表示できない相続人がいるときは

認知症などで、意思表示ができない相続人がいるときは、その方自身は遺産分割協議に参加することはできません。後見人が遺産分割協議に参加することになります。

相続人で行方不明者がいるときは

相続の際の遺産分割手続きを行う場合には、相続人全員が遺産分割協議に参加する必要があります。行方不明の方がいるからといって、その方を除いて遺産分割協議を行っても、その協議は、法律上無効として扱われます。そのため、こういったケースでは、不在者の財産を管理してくれる不在者財産管理人の選任申立を行い、この不在者財産管理人を交えて遺産分割協議を行います。

手続きをする前に相続人がなくなる

本来は相続人となるはずだった「被相続人の子または兄弟」が、「相続が開始される以前に亡くなっていた」といったようなケースでは、その人の相続権は、その方の子や孫が引き継ぐことができます。代襲相続といいます。